医学ことはじめ

田舎の医者の戯言

ALSとは? ホーキング博士の難病

ホーキング博士が死亡したと報道されています。

今回はホーキング博士が闘病していたALS(筋萎縮性側索硬化症)について簡単に解説します。

 

ALSとは

一言でいうとALSは「体中の運動神経が機能しなくなり、筋肉を動かせなくなる病気」です。

 

ヒトの体はみなさんご存知の通り、筋肉が縮んだり伸びたりして、関節を動かします。それで、歩いたり、喋ったりできるわけですね。その筋肉は、脳が信号を出して、運動神経を通じて運動してるんです。

ALSでは、命令を伝達する運動神経が侵されるため、筋肉を動かせなくなるわけです。

 

また、麻痺するのは運動神経のみで、触覚・聴覚などの感覚神経や、内臓機能を司る自律神経は侵されません。脳も正常なので、知能も保たれます。

 

発症・経過

はじめは、やはり手足に異常を覚えることが多いです。ものが持ちにくかったり、歩きにくくなったりなど。普段よく使うからこそ、そこで気がつきます。

また、「球麻痺」といって、喉の運動が麻痺します。食べ物が飲み込みにくくてムセたり、言葉の発音がしにくくなったりします。

やがて、歩けなくなり、食事も摂取できなくなり、ついには言葉を発することもできなくなります。ALSは目の運動だけは保たれるので、目の動きでコミュニケーションを取っている方もいます。

多くは発症後3年前後で呼吸不全や感染症により命を落とすとされています。ただ、ひとによって症状の差が大きく、ホーキング博士のように非常に長生きする人もいます。

 

治療法は?

ALSは原因不明の病気です。根本的な治療法は見つかっておらず、対症療法が中心になります。

 

頻度や原因は?

日本では10万人に1-2人とされています。家族性に発生するALSについてはいくつかの遺伝子がALSの原因と考えられていますが、家族性に発生しないものもあり、全容は不明です。

 

 

ALSは現代医学をもってしても有効な治療法が存在しない難病の1つです。最後まで知能が保たれ、痛みを感じるため、患者をサポートする家族にも大変な心労が伴います。

医者は目の前の患者の治療を行うことも大事ですが、このような難病の治療法究明という大きな使命も担っています。今後の医学の発展に期待します。

 

ホーキング博士のご冥福をお祈りします。

 

panicbear

 

 

 

医学ことはじめ

はじめまして

田舎の医者がブログをはじめようとしています。
日々、診療をしていると、たくさんの方々が様々な病気に対する疑問や不安を抱えています。それは、自分のことであったり、ニュース報道の病気であったり。

しかし、病名で検索すると、大学がつくった難しいページや、どこかのお偉いさんが書いた論文などは出てきますが、なかなか一般の方には理解し難い内容が多いように感じます。

近頃は製薬会社などで見やすいページがありますが、若手医者の目線で、非医療関係者にも分かりやすいような説明をしたいと思っています。

内容は、疾患について、その他の医療問題などを取り上げていきたいと思っています。

こんなことが知りたい、などありましたら是非とも教えてください。よろしくお願いします。


panicbear